輝く命のカケラが行きつく先
「あんなの観なけりゃよかった」
「これからどうするべきかわからない」
「また絶望するものが増えた」
2018年3月26日
その日私は、命のカケラというものを観た。
歌い、踊り、宙を舞う
彼の、1分1秒ごとにすり減る、命のカケラ。それを全身に浴びて、私は帝国劇場を後にした。
Endless SHOCK
恥ずかしながら、私はSHOCKがこんなにもすごいものだと思っていなかった。光一くんがライフワークにする意味が理解できなかった。というより、しようとしなかったのかもしれない。
私はKinKi Kidsの堂本光一と堂本剛が好きだ。2人が放つ音楽という波を感じていたい。彼らは別々の仕事をする時、ソロ活動というが、私にはどうにもそれがしっくりとこない。
V6が好きで、V6がトニセンとカミセンに分かれているということも関係しているのかもしれないが、どれだけ個人の活動をしようが、彼らはKinKi Kidsなのだ。
SHOCKを観劇するまで、Endress SHOCKがなぜ日本一チケットが取りづらい舞台であるのか、私は全く理解できていなかった。毎年やるのに、観る側は何でそんなに飽きないのか、まず何故に毎年やってるのか、一体何が彼らをそこまで惹きつけるのか。
全ては百聞は一見に如かずというべきで、帝国劇場というほかの劇場とは一線を画す、荘厳で華やかな空気に包まれる場所で歌い踊り舞う光一くんはまさに王子様だった。
テレビで見る光一くんは、時々お世辞にも王子様とは言えない振る舞いをする。いくら顔がよくてアイドルだと言われても、疑問符を投げつけずにはいられないことすらあった。だからこそ、光一くんが王子様と形容されるのも、KinKi Kidsを好きになっても理解できなかった。
でも、確かに光一くんは王子様だった。
テレビで映る彼も、剛くんの隣にいる彼も、間違いなく堂本光一その人だ。王子様のように甘い言葉も、恋に落ちてしまうような振る舞いもしないし、なんならまず王子様の定義とは何か考えてしまうし役柄にも別に王子様要素なんてほぼほぼないけれど、あの時あの場所で彼が放つオーラはまさに王子様がまとうそれだった。
観劇を終え、宿に帰っている間中、私はずっと興奮していた。そして同時に、この世が終わるほどの絶望が襲ってきた。
光一くんの衣装は他の出演者のものよりもずっとずっと輝いていた。それは彼が主役で、主役が着ると決められている衣装を身に纏っているからだけではない。光一くんは輝いていた。光一くんは常にスポットライトの光を弾いていた。弾かれた輝きの1つひとつが、光一くんの命のカケラだった。光一くんは今までに1600回以上、帝国劇場で過ぎていく3時間とちょっとの間、少しずつ少しずつ命を削っているのだと本気で思った。
それぐらい、Endless SHOCKというものは凄まじい舞台だった。
だからこそ同時に、終わりを見つめてしまう自分がいた。
その終わりはいつか来る。最近はそれをまざまざと実感させられる、言いようもない怒りと悲しみを生み出す出来事が立て続けに起こっている。
だけど、命のカケラを体いっぱいに浴びた幸せは、これからずっと私の人生を潤してくれる。光一くんの命のカケラが行きつく先は、他の誰かの人生なのだろう。
私はそう信じずにはいられない。